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<第6話> 技術は時空を超える
「スカイプをしませんか?」
私がお世話係りをさせてもらっている会の会合でのこと。
「よろしければ今このパソコンにソフトを入れてあげますよ。」
「ただですから気にしなくて良いですよ」
仲間のHさんが私のパソコンをいじり始めた。
10分もしないうちに“スカイプ”の呼び出し音が聞こえた。
私の所属する会では忙しい人が多く、なかなか集まることが出来ない。
常時集まることの出来るのは3人程で全体の1割程度だ。
これを何とか3割4割まで増やせないかと悩んでいたので、大いに期待をして画面を見た。
相手の顔が大きくクッキリと写っている。
話しかけると画面の人が答える。会話は続く。
私の言葉は「すごい!素晴らしい!」の連発に変わり会話にならない。
“トンネルを抜けると大空だった”というような気分だ。
カメラをあっちこっちに向け、あれも写る、これも写ると言いながら大いに楽しんだ。
次の日 朝礼にて・・・
「諸君!わが社は今やこの小さなパソコンによって時空を超える手段を手に入れた。
出かけずともあたかも相手が隣にいるがごとく会議が出来るようになった。たとえ、東京でも、鹿児島でも距離は関係なくなった。しかもタダだ。素晴らしい時代になったじゃないか。」
と言うようなことを話した。
朝礼終了後、課長のHが声をかけてきた。
「社長、朝礼の話のことですが・・・。」
(きたきた。)
「すごい時代になったもんだな。是非これを活用して。現場や、お客さん、協力会社と一体になった仕事が出来るぞ。技術は時空を超えたね。」
すこしオーバーに言った。
「言いにくいんですが、そのソフトは以前から使っているんです。社員同士はこれでやり取りしています。便利ですから。ソフトはメッセンジャーなんですけど。」
「いまさら朝礼なんかでこういうことを言われるとみんなのテンションが下がりますから話題の選び方にもう少し注意してください。」
「N(当社の社員)がやってるあれがそうなの?」
「はい」
「カメラないやん」
「話が出来るだけで充分ですから。」
「・・・・うそ。」
みんなは、黙って図面を描いている。 |
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<第5話> サイボーグオオガミ解析(その1)
驚異的な理解力の秘密
職場の若い人たちにパソコン操作を習う事が多い。
相手も仕事中なのでいきおい解説のスピードは上がる。目にもとまらない速さで
の操作と解説に間の抜けた質問は許されない。確かにそのときは分かった気がし
て つい御礼を言ってしまう。
本当に分かったのか分からないままに仕事を再開すると 不安が的中し正確に
わかってないのが分かってしまう。再度聞きなおす羽目になるが、この時点で
先輩としてのプライドも威厳も吹き飛んでしまう。
だがしかし私は絶対的な武器を手に入れ 1度聞けば同じ事を2度聞くことは
なくなった。
どんなスピードにも問題なく追従でき 次の日の朝には教えてもらって作った
書類を手に、「こうゆう事だからよろしく頼むよ」と何食わぬ顔で えらそーに
渡すことが出来るのだ。
武器を解説すると手のひらに入るほどの小型のデジタルビデオカメラ。
データをパソコンに取り込むことが出来るため、適切なタイトルさえつけて
おけば時間がたっても直ぐに検索が出来る。年配者はパソコンを頻繁に使う
ことが少ないため 習ったことを忘れてしまいがちだが その心配はもう
なくなった。
見たままの画面を手を加えずパソコンで管理し、手軽にデータを再現して活用
できる機能の実用性は画期的な事。
気づいている人は本当に少ない。 |
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<第4話> サイボーグオオガミ
人は老化にともない身体的な能力が衰えていく。
物が見づらくなると眼鏡をかける。
聞こえなくなると補聴器を使う。
食べ物をかめなくなると入れ歯を入れる。
記憶力や、考える力が衰えたときどうなるのだろうと不安に思っていたとき
パソコンは第二の頭脳だというTさんに出会った。
現役の頃は電機メーカーの商品開発部で働き、現在は地球温暖化のテーマに
取り組み講演活動を続けているひとだ。
私の所属している会がTさんを講師に企画した講演会でのこと。
テーマも地味でTさんも知らないし期待もせずとりあえず参加した。
講演テーマは「地球温暖化による人類の危機」
講演が始まりノートパソコンから次々にスクリーンに映し出されるやいなや
画面構成と機能に私の目がいつしか点になってしまっていた。
説明を補完するタイムリーな映像と写真、わかりやすいグラフ。
気が付くと強烈な印象とともにすべてを理解していた。(と、思わず思った)
小さなノートパソコンにこんな力があるなんて信じられなかった。
講演の終了後、Tさんに詰め寄りパソコンの話しをしてもらった。
「考えるための資料は全て整理してこのパソコンに入れています。
いろんな人の考え、収集した世界中の資料、現象を資料で確認しながら
自分の考えをまとめています。今回の講演も特別準備はしていません。
パソコンには常に新しい資料を追加していますので、思考内容は最新の情報が
反映されています。
今回も普段整理して考えていることをそのまま話しただけです。」
それから一年後、私はTさんと一緒に建物のメンテナンス用データの編集プロ
グラムに取り組んでいる。
並行して、自分の第二の頭脳を作っているが目の前には凡人の頭というどうしようもない現実の壁があった。 |
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